一般の中古物件と競売物件の比較
一般市場で中古住宅を購入する場合と、競売物件を落札して入手する場合を比較して考察してみました。
中古住宅の購入をご検討される際の参考になれば幸いです。
- ★物件供給量
- 一般市場 > 競売物件
- (一般市場のほう供給量(選べる物件の数)が多い)
流通している物件の量は一般市場のほうがはるかに多いです。
不動産競売は、原則として債権者が裁判所に競売の実施を申請した場合にのみ開催されます。
一つ注目したいのは、一般市場に流通する中古物件の中には、流通前に不動産業者や投資家が転売等を狙って競売市場で調達した物件が含まれているということです。
つまり、私達が一般市場で入手する中古住宅は元々は競売物件であった可能性もあるということです。
元が競売物件であるのであれば、一般市場で転売価格で出回っている物件よりも、競売市場で直接入手したほうが理論上は安く買えるのです。
★参考:不動産競売とは
- ★物件の多様性
- 一般市場 > 競売物件
- (一般市場のほうが多様性が豊か)
多様性は中古住宅の購入を検討する際、希望条件(立地、間取り、周辺環境、築年数等)に合う物件が手に入りやすいかどうかを示します。
供給量に比例して、一般市場のほうが多様性に優れています。
そのため、競売物件に絞って中古住宅を購入しようとすると、希望条件に一致する物件が中々見つからない可能性が高くなります。
希望条件を明確にした上で、一般市場と競売市場の両方で物件を探すと選択肢を増やすことが出来ると言えます。
- ★物件の希少性
- 一般市場 < 競売物件
- (競売物件には希少な物件が出まわる場合がある。)
物件の希少性とは、滅多に不動産の中古市場に出回らないような立地や種別の不動産が流通しているかどうかです。
物件の希少性が高ければ高いほど、一般市場に出回る前に業者間や不動産投資家等で直接取引されてしまうため、価値と希少性の高い物件は末端の一般市場には出まわりにくくなります。
しかし、競売市場の場合は、希少性の高い物件であっても債権者の判断により競売にかけられることがあるため、いわゆる掘り出し物の物件が出まわる場合があるのです。
そして、競売の場合は、裁判所が開催するオークションですので、資金さえあれば、誰でも希少な物件を手に入れるチャンスが有ると言えます。
- ★購入価格
- 一般市場 < 競売物件
- (競売市場のほうが物件を安く購入出来る可能性がある)
多くの場合、競売物件のほうが一般市場よりも安く入手出来る可能性があります。
その理由として、競売物件には特有の制約(内覧が出来ない、瑕疵担保保証がない、物件引渡しに非協力的な占有者がいる等)があることが加味され、売却基準価額が一般市場の7割程度として評価されます。
ただし、あくまでの競売では最高入札額で入札した者が落札する仕組みのため、入札額が高騰すれば、結果的に一般市場よりも高い価格で落札される場合もあります。
また、不動産業者等が販売する一般中古物件の場合、リフォームやリノベーションが施された物件を購入出来ますが、競売物件の場合は、落札者が自分でそれらを行う必要が生じるため、落札後の入居や賃貸契約に出すことを見越して、リフォーム費用なども考慮して入札額を決定するのが基本となります。
競売で投資用の物件を入手する場合、占有者が前所有者と賃貸契約を結んだ者であった場合、その契約を引き継げる場合が多いため、リフォーム費用などが発生しないこともあります。
- ★入手難度
- 一般市場 < 競売物件
- (競売物件のほうが入手難度が高い)
一般市場の場合は、物件の購入意志を所有者に伝え、ローンを利用する場合はローンの審査を金融機関に依頼することで、その過程を踏めば物件を入手することが可能です。
競売物件の場合、入手を希望する物件が見つかっても、入札者が複数いる場合、最高入札者にならなければ物件を落札することが出来ないため、希望の物件があっても入手出来ない可能性があります。
また、競売市場はそもそも一般の人には馴染みの薄い制度でもあるため、物件取得経路として認知されていないか、除外されている場合が多いのが現状です。
- ★住宅ローンの利用
- 一般市場 > 競売物件
- (競売物件のほうが住宅ローンを利用しにくい)
一般市場においては、住宅ローンの審査は一定の基準や条件をクリアすれば利用することが可能です。
競売物件の場合、法改正により住宅ローンの利用が可能となっているものの、実際には金融機関が中々審査してくれないのが現状です。
競売物件でローンを利用する場合、一部金融機関の提供している不動産担保ローン等を利用するのが一般的なようです。
- ★取得までの期間
- 一般市場 > 競売物件
- (競売物件のほうが取得までに長期間かかる場合が多い)
一般市場の場合は、当事者間で物件の引渡し時期等を合意した上で売買契約を交わす事が一般的なので、物件取得までの期間に長短はあるものの、購入者が意図(または予測した)期間内に物件を取得することが出来ます。
多くの競売物件の場合、物件の前所有者(債務者)や、賃貸契約を交わして住んでいる者等が物件を占有している場合が多く、それらの人々は必ずしも物件の引渡しに協力的ではない場合があります。
物件の引渡し交渉に時間がかかる場合や、交渉が不調に終わり、最終的に強制執行を裁判所に申請する必要が生じる場合があります。
★参考:不動産競売の流れ
- ★投資利回り
- 一般市場 < 競売物件
- (競売物件のほうが高い投資利回りを出せる可能性が高い)
賃料による収益で、より高い投資利回りを出すには、物件の入手価格が重要となります。
より安く物件を入手出来る可能性がある競売物件のほうが、一般市場に流通する不動産よりも高い投資利回りを出せる可能性が高くなります。
(ただし、不動産投資は利回りの数字だけで所有物件を決定するようなものではなく、様々な要素を複合的に加味する必要がある。)
また、不動産の転売で利益を出す場合も、より安く仕入れることが出来る競売物件のほうが、転売の利ざやを多く稼げる可能性があると言えます。
★参考:不動産投資とは?
■まとめ
競売物件を中心にこの比較をまとめると、
・購入価格を安く抑えることが出来る
・高利回りを得やすく、不動産投資に向いている
という点が、大きな特徴であり、メリットでもあると言えます。
住宅購入をご検討の方の参考になれば幸いです。
また、不動産競売に関するメリット・デメリット、その他情報などは以下ページにて参考にして下さい。
・不動産競売のメリット
・不動産競売のデメリット
・競売FAQ
・競売用語集
※当記事は客観的なデータや統計に基づくものではなく、主に筆者の経験や予測に基づくものであるため、一部事実と異なる場合、現況にそぐわない場合がありますのでご了承下さい。。